本研究によって、次の成果を得た。 (1)液晶を用いた並列光論理演算素子を考案し、その基本システムを確立した。これは2枚の液晶セルと3枚の二色性フィルタを交互に重ねて構成されており、入射光として4つの波長を適宜選択することによって、2値の論理演算のすべてを実行できるものである。 (2)上記の演算素子における演算波長を4つから3つに減少させる方式を考案し、実用的な二色性フィルタの使用を可能にした。また、これを用いて実際にデバイスの試作を行うと共に、各種の画像処理が実行できることを実証した。 (3)上記の演算素子を更に発展させた光入力型演算素子を考案した。これは、光導電膜と強誘電性液晶を組み合わせて構成した液晶パネル3枚と二色性フィルタ4枚とを交互に重ねたものである。このデバイスでは、2枚の液晶パネルの画素間演算の結果を3枚目の液晶パネルに光学的に書き込むことができること、デバイスの両側から演算光を交互に入射させることによって高度な繰り返し演算が可能となること、これによって高速画像処理を実行できることなどなどを示した。 (4)前項で述べたデバイスの光導電膜の設計指針を明らかにすると共に、1画素分に相当するセルを作成し、これを3層積層して所望の結果が得られることを確認した。 以上の研究によって、高度な並列光論理演算あるいは高速画像処理が実行できる機能性画像入力デバイスの基本的概念を確立すると共に、その動作確認を行い、実用化の可能性を明らかにした。
|