逆スミス・パ-セル(ISP)効果を用いた次世代レ-ザ-加速器を実現するための基礎的研究として、その駆動レ-ザ-波長を大出力レ-ザ-が存在する赤外域まで短縮化するため、当初研究計画に基づき、実験及び理論的研究を一貫して進めた。その結果、赤外域でのISP効果観測のための基本的な実験装置等の準備を終了し、研究計画の主な目的を達成した。以下に箇条書きに得られた成果を述べる。 1.赤外域でのISP効果観測に関する理論検討結果 波長185〜496μmのサブミリ波帯に於けるISP効果の実験及び理論検討の結果、赤外域(波長λ〜10.6μm帯)に於ける本効果の実験的観測が可能であることを示し、同時に、要求される回折格子等の主な装置性能を明かにした。 2.実験装置の製作 (1)EMQスイッチCO_2レ-ザ-:単一基本モ-ド、単一ピ-クパルス出力を持つ、新しいタイプのCO_2レ-ザ-を開発、改良し、本実験で使用するのに十分な特性を実現した。 (2)レ-ザ-光学系:レ-ザ-光を真空容器内に置かれた回折格子表面まで導くためのレンズ系を設計し、その製作を終了した。 (3)シリコン(Si)回折格子の設計と製作:赤外域のISP効果用回折格子を、サブミリ波帯での実験結果と理論解析に基づき設計を完了した。次に、シリコン(Si)を回折格子基板として用い、結晶方位によるエッチングレ-トの異方性を利用した製作技術を確立した。 (4)電子検出系:最低検出可能電子数を電子検出部に新たに2次電子増倍管(MCP:マイクロチャネルプレ-ト)を装着することで、従来より1桁小さくした。
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