研究概要 |
2年の研究期間において、色素レ-ザによる多波長同時レ-ザパルス光発生の一環として、3波長(3原色光も含む)同時発振につき、単独および混合色素系に関して理論的、実験的研究を行った。理論については、色素混合の実験にあたり、各色素の単独および2〜3種混合における発振の有無、各色素の濃度依存性に関する最適濃度の導出のためのシミュレ-ションがなされた。未だ厳密な意味では今後とも検討すべき点が残されているが、今期における構成色素の選定や発振予測については充分目的が達せられた。実験については、混合色素系の光励起用として特に開発、製作した高効率、高エネルギ-窒素レ-ザ(繰り返し0.4pps,時間幅7.5ns,電圧15kV,窒素ガス流量10 l/minで4.6mJ,全効率0.18%,10ppsでは3mJ,0.12%)を用いた。これは期間中、修理、改良の期間を除き安定に動作し、今期間中の最大の目標であった青色、緑色、赤色領域にわたる3原色レ-ザパルス光発生に関する所期の目的達成のための原動力となった。期間を通じて種々の色素が検討されたが実験では主として、青色領域でCoumarin460(Cー460)、緑色領域ではDisodium Flourescein(DF)、赤色領域ではRhodamin610および640を使用し、これらの混合色素系による多波長同時発振に関する実験を行った。実験の大部分は各種色素のいろいろな組合わせにつき、セル封じ込みの形で行われたが、選定された混合色素系の実験では色素の循環系を構成して行った。これは3原色を含めた同時3波長の安定発生、長寿命化に大きく寄与し、実用化の面での一つの成果を得た。混合時の赤外領域での発振波長の短波長側へのシフトなどエネルギ-移動に伴う本質的な現象については、さらに今後とも厳密な検討を要する課題であるが、ほぼ完全な3原色レ-ザパルス光の発生を得、所期の目的を達し得た。
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