研究概要 |
当該年度はフィ-ドバック結合を有するネットワ-クの研究が主体となった.その成果は大別して次の3つに分類できる.1)フィ-ドバック結合を有するネットワ-クの学習則の定式化,及びその高速化アルゴリズムの開発,2)種々の複雑な問題に対するフィ-ドバック型ネットワ-クの優位性の検証,3)複合型ネットワ-クに対する学習則の確立とその有効性の検証.まずフィ-ドバック型ネットワ-クの学習則とその高速化についてであるが,ニュ-ラルネットワ-クの学習をパラメ-タ空間における非線形最適化問題と定式化し直すことにより,i)一般的な学習アルゴリズムを得,かつii)共役勾配法,準ニュ-トン法などの高速化アルゴリズムの適用を可能にした.その結果,学習の収束率,速度の点で共役勾配法が優位にあることが多くの例で確認された.つぎに種々の問題に対する適用例であるが,i)時系列認識,ii)パリティチェッカ-,iii)幾何パタ-ンの認識問題,iv)制御系自動設計などの多くの例について,多層型ネットワ-クとフィ-ドバック型ネットワ-クの比較実験を行ない,フィ-ドバック型ネットワ-クの優位性を確認している.これは多くの複雑な問題に対して,標準的な3層型ネットワ-クでは問題に内在する論理構造を正確に反映できないためであると考えられ,多層型ネットワ-クの一つの限界を示すとともに,フィ-ドバック型ネットワ-クの可能性を示すものである.最後に複合型ネットワ-クの学習則は上記のフィ-ドバック型ネットワ-クの研究が土台になって初めて可能になったものである.これは既に学習で得られた複数のネットワ-クを改めて素子として使用することにより,より大規模複雑な問題の解を得るネットワ-クを構成しようというもので,本質的にフィ-ドバック型結合を仮定せずには学習則を得ることがむずかしい.すでにアルファベット文字認識でその有効性を確認しており,引続き次年度に於てその可能性を検討する予定である.
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