研究概要 |
当該年度は前年度からの課題を引き継ぎ,複合型ネットワークの適用範囲の拡張とその応用,学習制御系の安定問題の研究が主題となった.その内容はおおよそ次の通りである. まず複合型ネットワークについては,必ずしも各素子がシグモイド型の素子でない場合にも学習則を拡張し,それを1)適応型制御問題への応用,2)サンプル値繰返し制御系におけるリップルの自動低減,等の問題に適用してその有効性を確認した.このような問題における特徴は各構成要素がシグモイド型でないことのみならず,その一部分に固定された要素を含むこと,したがって典型的な問題として誤差信号だけからは学習すべきネットワークの教師信号が得られないということがある.これに対し本研究で与えた複合型ネットワークに対する学習則により,中間層やそれ以外の部分にも教師信号を与えることが可能となり,その結果自動PIDパラメータ調整や学習的リップル低減が可能となった. 学習制御系の安定問題については,修正繰返し制御系を含む一般的なクラスに対して,系のパラメータ変動を仮定したときのロバスト安定条件が得られた.これにより,学習制御系に対しても従来と同様なロバスト性解析が可能となった.
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