研究概要 |
原地盤での砂・粘土・礫・軟岩の非常に非線形な応力・ひずみ関係を推定する実用的法を、系統的室内試験、室内試験・原位置試験による変形係数と地盤の変形から逆算した変形係数との比較により研究した。まず、三軸・平面ひずみ圧縮試験で0.001%以下のひずみからピ-ク強度までの応力・ひずみ関係を精度良く連続的に測定する方法の開発をした。その結果、軟弱粘土を除き、一軸・三軸圧縮試験法で軸ひずみを載荷ピストンやキャップの変位から求める従来の方法は供試体上下端でのベッディングエラ-の為に軸ひずみを非常に過大評価することが分かった。これが、従来の試験法で求めた変形係数を用いた数値解析では実測の地盤変形を過大評価する主な原因であることが分かった。更に、全ての単調載荷試験で0.001%以下での変形特性はひずみ速度・繰返し載荷の影響を受けず弾性的であり、その微小ひずみレベルで定義した初期変形係数Em_<ax>、Cm_<ax>、繰返し載荷試験・共振法土質試験・原位置せん断弾性波速度から求めた変形係数と一致した。また、孔内水平方向載荷試験から求まる変形係数は0.1ー1%以上のひずみレベルに対応し、そのひずみレベルでの室内試験から求まる変形係数と一致した。従って、従来の「静弾性係数・動弾性係数」の区別は見かけ上のものであり正しくないことが判明した。以上を総合して、静的・動的載荷問題の数値解析で用いるひずみの関数としての原位置変形係数の実用的推定を示した。即ち、(1)PS検層から原位置弾性係数E_f.G_fを求める。(2)孔内水平方向載荷試験から変形係数E_<BHLT>,G_<BHLT>とそれに対応するひずみレベルを求める。(3)良質の不撹乱試料を用いた室内試験で0.0001%ー10%での連続的E/E_<max>,G/G_<max>〜ひずみ関係を求める(単調載荷と繰返し載荷で異なることも留意する)。(4)E_<max>=E_f,G_<max>=G_fと言う事実を用いて、上記三つの結果を総合して「原位置E,G〜ひずみ関係」を推定する。
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