リング式せん断試験機(試作機と略称)が完成した。乾燥豊浦砂、カオリン粘土を用い試験を行った。得られた結果は従来知られている成果と整合性があり、装置の有用性が認められた。また電大既設のリングシャ試験機で、豊浦砂について試験をしたところ試作機の結果とほぼ一致した。すなわち同じ初期間隙比、上下圧に対する摩擦角はほぼ一致し、ピ-クせん断抵抗を超えると残留状態までひずみ軟化現象を示し、進行性破壊現象が認められた。限界状態土質力学では初期間隙比によらず残留状態では同じ間隙比に至るとされている。この考えにて試作機の試験結果を解釈すると豊浦砂のせん断層の厚さは平均粒径の20倍位と推定された。この値は他の研究者の観察結果(約16倍)とほぼ一致する。 試作機で測ったカオリン粘土の最大せん断抵抗と、残留抵抗は相対変位が、それぞれ5〜6mm、40〜50mmで生じており、モデル試験を進行性破壊の立場で考察する上で参考になる。 粘土斜面の進行性破壊挙動をみるため、小型のドラム型遠心載荷装置を利用した。自重圧密して作製した過圧密粘土斜面の破壊に至る挙動をビデオカメラで撮影記録し画像処理の結果、変位ベクトルとせん断ひずみの分布を求めた。その結果、過圧密比が大きい程、浅いすべりが生じること、また脆性破壊の性状が現れ易いことがわかった。なお破壊時の進行性インデクスについては最終報告書に述べたいと思う。
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