普通及び高強度コンクリ-トの高温時の力学的性質について実験的研究を行い、多数の応力・歪曲線を求め、いくつかの知見を得た。 1.熱間の圧縮強度は、いずれのコンクリ-トにおいても、100℃近傍で低下し、特に設計基準強度420kg/cm^2の高強度コンクリ-トで著しい。200〜300℃加熱では、強度は再上昇し、常温時の強度とほぼ等しい値となる。いずれの試験体においても、300〜400℃あたりから、強度は加熱温度と共に、700℃まで、ほぼ一直線に低下する。また、常温強度に対する強度の低下率は、高強度のものほど大きい。 加熱冷却後の圧縮強度は、設計基準強度210kg/cm^2のコンクリ-トでは熱間同様に100℃近傍での低下が認められ、200℃加熱で強度は再上昇し、常温時の強度とほぼ等しい値となるり、その後強度は加熱温度と共に、700℃まで、ほぼ一直線に低下するが、設計基準強度420kg/cm^2の高強度コンクリ-トの場合には、100℃での強度低下は小さく、200℃あたりから、加熱温度と共に、700℃まで、ほぼ一直線に低下する。 2.熱間の弾性係数(E_<1/3>:圧縮強度の1/3の応力点を通る割線弾性係数)は、100℃近傍で大きく低下し、200℃程度まで横ばい状態で、その後、加熱温度と共に直線的に低下する。 加熱冷却後の弾性係数は、設計基準強度210kg/cm^2のコンクリ-トの場合熱間のものと同様の傾向を示すが、設計基準強度420kg/cm^2の高強度コンクリ-トの場合には、100℃近傍での大きな低下は見られず、700℃まで温度と共に、ほぼ直線的に低下している。 本研究において、高温時のコンクリ-トの力学的特性に関して、ある程度の知見は得られたが、いまだ十分とはいえない。
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