水資源が不足し、節水を余儀なくされている状況に対応して、衛生を基準としたミニマム水量を明らかにする必要性を踏まえて、3年度にわたって行った研究である。 水使用行動としては、手洗い・洗面・洗浄・洗濯・入浴・炊事その他があるが、全般にわたる基礎的検討をした上で、特に本研究では、手洗いと入浴およびシャワーを中心に検討をすすめた。 研究概容は以下のとおりである。 1)文献調査:水使用行動と水量・水質に関わる文献を、広い分野にわたって検索し、状況を把握するとともに、必要事項を抽出した。 2)アンケート調査:一般家庭を対象として、入浴とシャワーを中心とした、水使用行動の詳細にわたるアンケート調査を実施し、性別・年代別に手順や水使用の特性について分析した。 3)実験研究:以前に行った手洗いの実験を再検討するとともに、新らたに入浴およびシャワーのための実験装置を製作し、行動分析と水使用の特性について実験研究を行った。その結果、水使用パターンの類型、水使用量の特性、水質変化の特性などについて明らかにするとともに、節水の可能性について検討した。 4)シミュレーション:入浴およびシャワーについて、上記のアンケートと実験の結果を踏えた、水使用行動と水使用量に関する検討を行い、限界節水量を推定し、ミニマム水量算定のための基礎的検討とした。 以上により、水使用行動のうち、特に人の要素が大きく影響する手洗いと入浴およびシャワーについて多くの知見を得るとともに、ミニマム水量を算定するための基礎的検討を行い、一応の成果を得ることができた。
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