(1)痴呆性老人ケアシステムの構築 近年地域における痴呆性老人の数量的把握については、都道府県ごとに、或は市町村ごとに漸次実施されている。それによると65歳以上人口対の出現率は4〜5%であることが示されている。一般に症状は進行するものといわれているので、その症状の程度別の的確な把握は容易ではない。 これらに対するケアのシステムとしては施設的には、精神病院(棟)、老人病院(棟)、老人保健施設、特別養護老人ホーム、ディケアセンター等があるが、このほかグループハウジング、訪問看護等による在宅ケアがある。わが国ではいまだそれらの分担の仕組みは確立されていないが、先進諸国の先端的経験によってグループハウジングによるその有益性は高度に示されている。 本研究では、それらをもととしてケアシステムの多様な展開の重要性を示した。また前年までの実験および調査から病棟、介護棟の建築的構成等について考察し、その計画指針の提示を行った。 (2)ターミナルケアシステムの構築 先進諸国において行われているターミナルケアシステムの実態を調査し、わが国への導入の可能性及びその実際化について考察した。 わが国の実態は緩和ケア病棟を中心として一般病棟におけるホスピスケア病棟、そして一般病棟における病室群等で示される。 前2者に関する実態調査を新たに行うことによって、ターミナルケアの場合の在宅ケアの可能性についても検討した。 さらに前年までの調査結果をも加えてターミナルケアの主要な分野となるであろう緩和ケア病棟の建築的構成およびその計画的指針の提示を行った。
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