研究課題/領域番号 |
02452223
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
延藤 安弘 熊本大学, 工学部, 教授 (30026116)
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研究分担者 |
横山 俊祐 熊本大学, 工学部, 助手 (50182712)
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キーワード | コミュニティ・ハウジング / 高齢者住宅 / 住宅団地更新 / 住み手参加 / 集住体 / 熟成化 / 住要求 / コミュニティ形成 |
研究概要 |
当該テ-マの既往研究レビュ-と、本研究のオリジナリティの位置づけをあらためて再検討した。 コ-ポラティブ住宅ユ-コ-トの調査(48戸全戸アンケ-ト調査、聴取り調査、観察調査)により高齢者と他の居住者集団との相互扶助の生活関係が詳細にあぶり出された。 もう一つの具体的調査対象として、昭和30年代初頭に建設された公営住宅(RC造)の居往者を選び(熊本県営堀ノ内団地、熊本市内)、建て替えにあたり、高齢者とその他の住み手からの住要求調査を行った。 この課題に接近する際に、コミュニティ・ハウジングの考え方の基調である住み手を主体に据えた計画手法を構築することを念頭においた。即ち、従来の「使われ方研究」が、生活者の潜在的な住要求を客観的に把握しょうとする余り、生活者は単なるデ-タとして、一方的な観察の対象にされ、そこから得られる住要求は、固定的与件として位置づけられていた。これに対して、集住体の熟成化を自ら実践し、集住価値を高めてきた住み手が更新計画に能動的に関与することによって、住み手の多様な住要求が、具体的内容をともなって顕在化してくる。加えて、住み手は、周辺を含めた団地環境のハ-ド・ソフト両面を熟知しており、計画における〈継承性〉や〈個別性〉を実現する上で有効な存在である。また、従来の計画者、供給者としての行政・プランナ-と情報提供者、利用者としての住み手という二項対立的な図式は、計画過程を共有することによって、両者の間が相互に触発される関係へと転換され、よき団地づくりへ向けて計画の弾力的展開が期待される。それは同時に、住み手に自立性や集性価値観の高揚をもたらし、更新後の集住コミュニティ形成へと連続する。このような方法的視点から、老朽集合住宅団地の更新におけるコミュニティハウジングの必要性・可能性の検討を行った。
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