深海底鉱物資源開発システムの安全性と制御に関する研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02452225
• 研究機関: 秋田大学
• 研究代表者: 麻生 和夫 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (30006639)
• 研究分担者: 菅 勝重 秋田大学, 鉱山学部, 助手 (40006672) ; 土岐 仁 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (80134055)
• キーワード: 揚鉱管 / 縦振動 / バッファ / ポンプモジュ-ル / 最適形状 / 動吸振器 / 共振振幅 / 最大軸応力

研究概要

深海底に賦存する鉱物資源をポンプ方式で採取するには、海面上の船と海底の集鉱機を結ぶ長大な揚鉱管が必要となる。さらに、その揚鉱管の下端にバッファ、中間に1〜2個のポンプモジュ-ルが必要となる。しかし、海況に起因する船の運動のため、上記の揚鉱管に横振動ならびに縦振動が発生してそのシステムの安全作業上重大な問題が発生する。
本研究は、平成3年度において主に以下の3項目について研究し、ほぼ所期の目的に沿った成果を挙げることができた。
1.平成2年度で確立した方法により、種々の形状をもつバッファとポンプモジュ-ルに作用する流体力を求め、それらを用いて揚鉱管の縦振動を解析した。その結果、揚鉱管の縦振動を抑制するためには、出来るだけ横断面積が大きく、質量の小さいバッファとポンプモジュ-ルを使用するほうが有利であることがわかった。また、それらの最適形状について明らかにした。さらに、それらの形状のバッファやポンプモジュ-ルを使用することにより、揚鉱管の縦振動の振幅を約40%軽減できることを明らかにした。
2.バッファとポンプモジュ-ルに動吸振器を設置して揚鉱管の縦振動を抑制することを検討した結果、揚鉱管の1次の共振振幅を50〜60%、最大軸応力を20〜40%軽減できることがわかった。また、任意の質量のバッファとポンプモジュ-ルを使用した場合の動吸振器のばねと質量の最適条件を明らかにした。さらに、揚鉱管の縦振動に及ぼすポンプモジュ-ルの配列の影響が非常に小さいことを明らかにした。
3.揚鉱管の縦振動を制御するための能動制御方式について検討した。その結果、アクチュエ-タとしてスクリュ-とエアジェットが考えられたが、前者の方が応答性に間題があるが、制御方式が簡単であり、十分に実用性があることを示唆した。

研究成果

• [文献書誌] Aso,Kazuo: "The ShapeーEffect of Buffer on the Longitudinal Vibration of a PipeーString in the Deep Sea" International Journal of Offshore and Polar Engineering. Vol.1. 154-160 (1991)
• [文献書誌] Aso,Kazuo: "The Drag and Added Mass Coefficients of Buffers Vibrating Axially in Water" Transactions of the ASME,Journal of Energy Resources Technology. Vol.113. 80-86 (1991)
• [文献書誌] Aso,Kazuo: "The Effects of Vibration Absorbers on the Longitudinal Vibration of a Pipe String in the Deep Sea" Proceedings of the First International Offshore and Polar Engineering Conference,Edinburgh,United Kingdom. Vol.II. 190-197 (1991)
• [文献書誌] Aso,Kazuo: "The Effects of Vibration Absorbers on the Longitudinal Vibration of a PipeーString for Miining Mnaganese Nodules in the Deep Sea" Proceedings of the Second International Offshore and Polar Engineering Conference,San Francisco,U.S.A.(1992)
• [文献書誌] 麻生 和夫: "深海における揚鉱管の縦振動の抑制に関する研究(第2報)" 資源・素材学会平成4年度春季大会講演要旨集. (1992)
• [文献書誌] Aso,Kazuo: "Vibration Control of a PipeーString for Mining Manganese Nodules in the Deep Sea" Proceedings of International Congress on Mine Design,Kingston,Canada. (1993)