研究概要 |
1.特殊な冶具を用いて,50mmΦ×50mmの円筒状岩石供試体の中央部に圧裂引張による破断面を形成し,これを岩盤不連続面のモデルとすることとした。なお,天然の不連続面の表面プロファイルとこの圧裂破面のそれと比較した結果,ほぼ近い表面特性を有していることを確かめた。 2.不連続面の表面特性を定量化するため,表面プロファイラ-で表面形状を計測し,これをフ-リエ解析することによりパワスペクトル密度分布を求めた。定量化はこの分布曲線によって行うのが妥当であるとの結論を得た。また,2次元的な表面特性の変化等を計測するため,せん断面中央部に,せん断方向に7測線,せん断方向と直角方向に3測線の合計10測線を設け,これらを総合的に評価してその面の表面特性とすることとした。 3.砂岩を供試体として,せん断変位に伴って表面特性がどのように変化するかを検討した。その結果,表面特性に変化が現われるのはまず波長の短かい成分であり,これは細かな表面の凹凸がせん断変移に伴ってまず破壊されることを示している。また,変化のない成分では破壊は起こらず,表面の凹凸をのり越えてせん断変位が進行していくものと考えられる。 4.せん断面に作用させる垂直荷重を変化させ,同様にせん断変位に伴う表面特性変化を測定したところ,垂直荷重を増加させるとより波長の長い成分まで破壊することがわかった。これは破壊せずにのり越えてせん断変位が進行していく表面特性の凹凸の成分が垂直荷重に依存することを示している。一方,せん断強度は垂直荷重により大きく変化するが,これはこのような機構と深い関係があるものと思われ,表面特性と強度特性との関連性において重要な知見が得られた。
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