研究概要 |
現有の陽電子寿命測定装置,消滅ガンマ線エネルギ-のドップラ-拡がり測定装置,陽電子消滅γーγ2次元角相関測定装置,低速/単色陽電子ビ-ムライン等の利用を基礎とし,これに測定系の電子回路の改良を施し,以下の研究を行った。 (1)TiAl,TiAl_3の非化学量論組成により導入される欠陥の研究:左記の合金の組成を一相領域で変化させ、陽電子寿命測定,ドップラ-拡がり測定,陽電子消滅γーγ2次元角相関測定を行った。その結果,非化学量論のみにより導入される原子空孔型欠陥の量が検出限界以下であることがわかり,アンチサイト欠陥として非化学量論組成分が吸収されていることがわかった。一方、新たに開発した ^<48>V内部線源法により行った熱平衡欠陥の測定では、純金属に比べ多量の複空孔が存在していることがわかった。 (2)β'ーAgZn単結晶の3次元振子運動量分布の決定:非化学量論組成のβ'ーAgZnの陽電子消滅2次元角相関測定を行い、多数の射影測定から、画像再構成法の適用により,3次元電子運動量分布を決定した。その結果、陽電子の欠陥による捕獲現象は起っていないことが判明し、非化学量論組成分は、TiーAl合金の場合と同様に、アンチサイト欠陥として存在していることが結論された。この事実に助けられて、β'ーAgZnのフェルミ面を正確に決定することができた。 他に、NiAl,Ni_3Al,NbSe_2の3次元電子運動量分布も、決定した。
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