研究概要 |
代表的アモルファス合金であるFeーB,PdーSi合金を用い、それらの中範囲規則構造の生成・成長の過程を高分解能電顕法、マイクロビ-ム電子回折法などにより詳細に調べることを目的している。本年度は、PdーSiアモルファス合金についての研究を行った。 (1)ビ-ムスパッタ法によるPdーSiアモルファス合金の作成と構造解析 Arビ-ムスパッタ装置により、岩塩、MgO基板でのPd_<80>Si_<20>合金膜の作成を行った。室温ならびに低温(-80℃)基板上へのPdーSiスパッタにより、アモルファス構造膜が得られるが、高分解能観察の結果、室温基板では、多くの中範囲規則構造(fccーPd構造)が見られるが、低温基板の場合には、ほとんど観察されず、むしろ、原子がランダム最密充填(DRP)した構造に近い。中範囲規則構造モデル、DRP構造モデルを計算機により作成し、高分解能電顕像のシミュレ-ションを行った。 (2)超高速回転ロ-ルの製作、液体急冷合金の作成 従来の液体急冷法では、ロ-ル最大回転数は5〜6千回転であり、FeーBアモルファス合金などの急冷速度を要する合金の場合には、完全なアモルファス構造が得られているとは言い難い。そこで、本研究では、ロ-ル回転数最高2万回転の超高速ロ-ルの作成を行った。所定の回転数での液体急冷を、FeーB,CuーFe合金により試み、十分な冷却速度が得られることがわかった。
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