研究概要 |
反応相層を作らない金属・セラミックス接合界面の非平衡組成誘起塑性挙動の研究は本年度は以下の3つの系を中心に行われた。 Ni/Si_3N_4:高分解能電子顕微鏡に設置された高温ステージを用いて温度上下の際に生ずる熱応力が駆動力となってNi/Si_3N_4無反応相層界面近傍で誘起される塑性変形をその場観察した。界面転位の移動の確認には成功したが,主要な熱応力緩和機構はニッケル相内部の転位挙動であり界面は格子転位の吸収サイトとして機能した。破断面組成の解析はニッケル超合金との界面で行なわれ焼結助剤相の偏析を検出した。 Bi_2Sr_2Ca_2Cu_30x/Ag/Bi_2Sr_2Ca_2Cu_30x:ビスマス系超伝導体をジョセフソン素子として使用する上で,銀の超薄層は接合界面を良好にする効果がある。交流V-I特性の測定は銀の存在にかかわらず,[001]軸まわりに特定の角度ねじった方位関係にある粒界で良好なことが示された。[001]ねじり規則粒界が良好な接合を達成していて,粒界ジョセフソン素子となることが示された。 C60/グラファイト:面心立方晶構造を示し,金属とよく似た塑性挙動を示すC60を真空蒸着法とLB法によりグラファイト底面上に堆積させて走査型トンネル効果顕微鏡で観察した。前年度行われたAg/Bi_2Sr_2Ca_2Cu界面の観察は単原子層の銀がビスマス系超伝導酸化物(001)面の特定方向(a軸)に平行に並ぶ傾向を示したが,C60はそのような優先方位を示さなかった。
|