1)TiAlにおけるγ/α_2/γ層状組織の生成過程と構造: おもにTiー40at%Al合金を用い、高温でα単相とした後、γ+α_22相領域に直接焼入れ時効して、α相の分解過程を検討した。α相はまずα_2相に規則化し、次いで、このα_2相中に、一つしか存在しないα_2相の低面を晶癖面とし、Blackburnの方位関係を保って、γ相板が生成・成長する。この結果、規則性の高い微細層状組織が形成されることを明らかにした。また、このようにして生成するγ相板には6種類のヴァリアントがあることを、理論的に導き実験的に確かめた。さらに、このようにして独立に生成したγ相板同士が隣合う場合の結晶学的な関係は4種類に限定され、従来考えられていたように双晶関係にあるとは限らないことを明らかにした。 2)TiーAl2元合金におけるγ/α_2層状組織の粗大化: おもにTiー43at%Al合金を用い、高温でα単相とした後、γ+α_22相領域で時効すると、1)で述べたような、規則性の高い微細層状組織が生成する。これをさらに長時間時効すると、不連続粗大化反応が起こり粗大化層状組織が形成される。不連続粗大化反応により層状組織はその層間隔が粗くなるばかりでなく、γ相板の平板性および平行性が低下し、γ相板がほぼ平行な領域であるコロニ-の大きさが小さくなる。このような反応が進行することを明確に示し、γ/α_2層状組織の生成過程には2種類のものが存在することを明らかにしたのは、本研究がはじめてである。
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