TiAl合金の機械的性質に最も大きな影響を与える組織因子であるγ/α_2/γ層状組織には、生成機構の異なる2種類が存在することを明らかにし、1991年6月の国際会議において、それらを一次微細層状組織(primary lamellar microstructure:PーLMS)および不連続粗大化層状組織(discontinuously corsened lamellar microstructrure:DCーLMS)と呼ぶことを提案した。 1)マッシブα相からのγ/α_2/γ層状組織の生成過程: Tiー40at%Al合金を用い、α単相域よりもさらに高温のβ単相域から室温に焼入れ、β→αマッシブ変態によって生成したマッシブα(α_2)相をγ+α_22相領域で時効し、その分解過程を検討した。この分解過程は基本的には前年度明らかにしたα相のそれと同じであるが、マッシブ変態時に導入されたα相内の小傾角粒界がγ相板の優先的核生成位置となること、この小傾角粒界の存在のために成長したγ相板は、その平板性が失われ巨視的には波打ったよう観察される。 2)TiAlにおけるγ/α_2/γ層状組織の構造: α(α_2)相に生成するγ相板は、Blackburnの方位関係を満たす6種類のヴァリアントからなっていることを前年度明らかにしているが、D0_<19>規則構造を持つα_2母相は4種類のドメイン、L1_0規則構造を持つγ析出相は2種類のドメインからなっているため、それぞれの相内の原子位置を考慮すると1種類のヴァリアントには2種類の配位がある。しかし、この2種の配位はエネルギ-的にfavourableな配位とunfavourableな配位とがあり、そのエネルギ-差はγ相(111)面の逆位相境界エネルギ-の1/3〜1/2程度であることを明らかにし、実際のヴァリアントはfavourableな配位を取る傾向のあることを実験的に明らかにした。
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