研究概要 |
前年度までに,酸化物および炭化物について遠赤外線放射の測定を行った.本年度は,主に複合化による赤外分光放射率の変化を研究した.シリカ,アルミナ,マグネシアを基にして,2成分系および3成分系の試料を混合粉末を焼結することによって作成し,その赤外分光放射率を測定した.焼結温度は低温(1000℃)と高温(1400℃)にして,焼結だけが進行する場合と複合化合物が形成される場合に分けて行った. アルミナ-シリカ系では,低温でも高温でも焼結だけは進行するが複合化は生じないため,分光放射率曲線は2成分の曲線を重ね合わせた型の曲線になった.シリカ-マグネシア系では,低温では焼結だけが進行するために混合物型の曲線になるが,高温では複合酸化物が形成されるために成分化合物とは異なった形の曲線になった.また,マグネシア-アルミナ系では,低温でも高温でも複合酸化物が形成されるため,どちらも成分化合物とは異なった形の曲線が得られた.シリカ-アルミナ-マグネシア3成分系では,低温では混合物型の曲線になり,高温では榎合酸化物型の曲線になった. このように,成分の化合物と焼結の条件を選択することによって,分光放射率曲線の形を変えることができることが明らかになった.このことは.目的に応じた遠赤外線放射材料を作り出せる可能性があることを示している.
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