研究概要 |
窒化物または炭化物セラミックスの中には、プラズマ溶射の際に容易に分解・昇華する傾向の高い材料が多い。本研究は、これまで成膜が因難とされてきた、上記のような性質を有するセラミックス材料の膜形成を行うために、同種セラミックス材構成金属元素に対する反応性プラズマ溶射法適応の可能性を調べることを目的にしている。平成3年度は、主として、反応性プラズマ溶射による窒化物系セラミックス皮膜作製に対するプラズマー基板間バイアス印荷の影響について、系統的に調べた。研究の結果得られた知見を以下に示す。 プラズマ内に投入された金属粒子のプラズマとの反応性を向上させるには、粒子の微細化による比表面積の増大,低融点材料の活用による粒子溶融の容易化,バイアスの印荷によるプラズマイオン種の活性化および低流速プラズマの使用による反応時間の増大等が有効である。昨年度の実績より、微細粒子の定量送給は現有粉末送給装置の性能上限界があるために、今年度は通常の粒径を有するTi粉末を流速の小さい(DC+RF)ハイブリッドプラズマにて溶射し、残りの2つの因子の効果を調ベた。まず、Tiに低融点のAlをメカニカルアロイ法により混合し、これをアルゴン窒素作動ガス中にて溶射した場合,TiおよびAlの窒素化反応はTiを単体で溶射したものに比較し,格段にすすむ傾向が認められた。この方法によれば、今後金属基複合窒化物皮膜の形成が可能である。これらの窒化反応は、飛行粒子とプラズマ間の反応によりもたらされるために、プラズマに対するバイアス電圧印荷の効果を調ベた結果、本反応系において、バイアス印荷はイオンの活性化による窒化反応性向上に寄与することがわかった。
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