研究課題/領域番号 |
02452251
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
溶接工学
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
金藤 敬一 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (70124766)
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研究分担者 |
高嶋 授 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (10226772)
浅野 種正 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (50126306)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 導電性高分子 / 固体電解質 / メモリ素子 / 電解酸化 / トランジスタ / ポリチオフェン |
研究概要 |
擬一次元の半導体である導電性高子は、高分子鎖間に酸化・還元剤を電気化学的にかつ可逆的にド-プ、脱ド-プをすることが可能で電導度を半導体から金属域まで任意に制御することができる。この性質を利用して可塑性メモリ素子を作成し、その信号入力応答やメモリ特性を測定した。 メモリ素子として、導電性高分子からなるメモリチャンネルに電導度の変化として記憶させる3端子素子と、入力信号がそのまま素子の電導度を変化させる2端子素子を作成した。3端子素子では電界効果トランジスタと類似の構造とし、ゲ-トとチャンネルとの間に高分子固体電解質層を設けた。ゲ-ト電極に電気信号を印加することによって導電性高分子が電気化学的にド-プ、脱ド-プされ、チャンネルの電導度が変化することがこの素子の動作原理である。2端子素子ではソ-スとドレイン間に導電性高分子のチャンネルを設け、その上部に固体電解質を塗布する構造とした。導電性高分子として、ポリ(3ーメチルチオフェン)、固体電解質としてエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体を用た。これらの素子に入力信号として、走査電位あるいはパルス電圧を用い、チャンネル電導度の過度応答、メモリ応答等を測定した。実験結果より、メモリチャンネルの電導度は、電位走査によって導電性高分子が電気化学的にド-プ、脱ド-プされて変化し、初期の目的が実現されることが示された。また、パルス入力に対しては、チャンネル電導度はパルス電圧の大きさ、頻度に依存して変化し、書き込み電極の開放によって、電導度が保持されるメモリ機能を備えていることが判った。 作成した素子のこれらの応答特性は、現存する半導体デバイスには見られない新規な特性を備えており、いわゆる神経回路網にあるシナプス結合を模倣する素子である。今後、学習機能を備えたメモリ素子として改良し、また回路網を構築し情報処理システムとして研究を進める予定である。
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