研究概要 |
ゲルプレス法における超高分子量ポリエチレンの超延伸機構について、分子間絡み合い密度と関連づけて解明しようとし、以下の新しい知見を得た。 1.超高分子量ポリエリレンの1wt%,2wt%溶液を徐冷して得られる球晶は多量の溶媒(約90%)を含むフリ-ドレインゲルの性状を示す。直径から算出されるゲル状球晶の容積比は溶液中のポリマ-量を反映してほぼ1:2の関係にある。 2.溶液濃度1wt%,2wt%溶液からのゲルプレス膜(A1,A2)において、延伸による強度、弾性率の上昇挙動がよく一致し、溶液における2倍の分子間絡み合い密度の違いがこれに反映しなかった。この理由として、溶液における分子間の絡み合いがゲル状球晶生成過程で解きほぐされ、ラメラ間を連結する絡み合い分子の数が両試料(A1,A2)において接近するためと推論された。 3.溶液濃度2wt%溶液を急冷して作製したゲルキャスト膜(C2,QC2)の延伸による強度、弾性率の上昇率はゲルプレス膜(A1,A2)よりかなり高くなる。この理由として、ゲルキャスト膜は分子間絡み合い密度がゲルプレス膜より高くなっているために。延伸時の応力が分子間に伝わり易く、CHAIN EXTENSIONによる束状結晶化が促進されると推論された。 4.100℃における延伸応力は分子間絡み合い密度に比例するとして算出されるゲルプレス膜、ゲルキャスト膜の最大延伸倍率は、実測値とよく一致することから、ゲルプレス法からゲルキャスト法に至る超延伸機構が、絡み合い分子からなる3次元ネットワ-クの変形として取り扱えることが結論された。 5.ゲルプレス膜の延伸応力、延伸による強度、弾性率の上昇挙動がプレス圧に関係なく等しくなる。これは、圧縮ー乾燥過程でゲルプレス膜のポリマ-密度がプレス圧に関係なくほぼ一定になるためと結論された。
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