研究課題/領域番号 |
02452256
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
則元 京 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (20027163)
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研究分担者 |
湊 和也 京都大学, 農学部, 助手 (10026601)
師岡 敏朗 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (00192378)
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キーワード | 化学処理 / 誘電率 / 誘電損失 / 一級水酸基 / 誘電緩和 / ホルマ-ル化 / アセチル化 / WPC処理 |
研究概要 |
化学処理によって、木材の欠点を合理的に改良したり、新しい性能や機能を付与するための理論的基礎を確立することを目的として、化学処理によって木材に生じる構造変化と物性に現れる変化の関係を実験、理論両面より研究した。本年度は、物性として誘電的性質を取り上げた。化学処理として、気相ホルマ-ル化、液相ホルマ-ル化、アセチル化、高級脂肪酸によるエステル化処理、マレイン酸処理、マレイン酸・グリセリン処理(MG処理)、低分子フェノ-ル樹脂処理、低分子メラミン樹脂処理、種々のWPC処理、熱処理、高温・高圧水蒸気処理等を選び、これらの処理木材について、温度ー190〜室温の範囲、周波数30HZ〜1MHZの範囲において、全乾状態における誘電率と損失を測定した。測定温度、周波数の範囲において、無処理木材には細胞壁を構成する成分の非結晶領域における一級水酸基の配向に基づく誘電緩和が観測される。化学処理により、水酸基が置換されるならば、置換の程度に応じて、一級水酸基に基づく緩和の強度は減少し、また、置換が生じない場合でも、導入樹脂と水酸基との相互作用によって、緩和の位置が移動する。このことから、化学処理によって、水酸基との間に化学結合が存在するかどうか、導入樹脂との相互の程度が推定できる。低分子フェノ-ル樹脂、メラミン樹脂処理では、樹脂と水酸基との間の化学結合は少ないと考えられていたが、かなり多くの結合が生じていること、MG処理において、化学結合の存在していることが証明された。WPC処理では、調製方法によって、樹脂の細胞壁内の存在状態が異なることが示された。化学処理木材の構造を細胞レベルと細胞壁レベルに分けてモデル化し、それをコンデンサ-の直列と並列モデルの組み合わせによって表現した。それを用いて、化学処理木材の誘電率と構造の関係を定量的に解析することが可能となった。
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