流域の水環境制御に向けての用排水管理システムに関する研究

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02452257
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 志村 博康 東京大学, 農学部, 教授 (00007064)
• 研究分担者: 久保 成隆 東京大学, 農学部, 助手 (40134506) ; 後藤 章 東京大学, 農学部, 助手 (80162139) ; 中村 良太 東京大学, 農学部, 助教授 (10011991)
• キーワード: 地域環境 / 流域管理 / 水資源 / 水質 / 知識工学 / 用排水システム / 水管理 / 非定常流解析

研究概要

本年は初年度のため体形的にとりまとめた成果はないが、各課題において着実な研究の進展を見た。各課題毎の進捗状況は以下の通りである。
(1)水環境と流域開発の関係(志村分担)
我国における灌漑システムの開発・近代化過程を整理し、それを通じて、灌漑排水システムが流域の水環形成に与える影響についての考察を進めた。
(2)用排水管理システムへの知識工学的アプロ-チ(中村分担)
環境評価などには数量化が困難な要素が多いが、知識工学用言語を用いて文章論理として計算プログラムに取り込みうる。本年度は地域的な農業用水管理者の評価行動を解析し、水量シミュレ-ションも可能なことを確認した。
(3)用排水の動的解析・貯水池の濁水解析(久保分担)
用排水の動的解析に関しては、水路における流水特性の解析、低平地の洪水排水シミュレ-ションを実行し、流水環境の基礎的モデルがほぼ構築された。貯水池の濁水解析では、貯砂ダムによる堆砂防除、貯水池の濁水流入シミュレ-ションなどについて研究を進めた。
(4)貯留型用排水システムの解析・水辺環境の分析(後藤分担)
水辺空間として重要な位置を占める用排水システムの貯留施設に関する解析を研究課題として追加した。発表論文において、貯留施設の有効性、適切規模、管理手法などが検討された。水辺環境に関する研究では、現地での実態調査と水質浄化機能の基礎実験を二つの柱としている。前者については、数箇所の事例地区を選び、予備調査、資料収集を始めた。実験については、装置の据付け、実験器具や試薬の購入とそれらを用いた予備実験を始めたところで、来年度に本格的な実験を行う。

研究成果

• [文献書誌] 伊藤 良栄・久保 成隆・志村 博康: "貯砂ダム内での土砂粒子の運動の分析ー貯砂ダムの貯水池堆砂防除効果に関する基礎的研究(1)ー" 農業土木学会論文集. No.149. 27-38 (1990)
• [文献書誌] Akira GOTO and Mario H.Sande: "A Low Flow Analysis for Irrigation Planning in Mindano,The Philippines" 応用水文,農業土木学会応用水文研究部会. No.3. 89-94 (1991)
• [文献書誌] Hiroyasu SHIMURA: "The Modernization of Paddy Field Irrigation Systems Based on Japanese Experience" Proc.Third Joint Seminer on Agricultural Engineering and Technology Bogor,Indonesia.
• [文献書誌] Riota NAKAMURA and Shinichi NISHIMURA: "Simulation of Irrigation Canals for Improvement of Operation ーーa Program with Logies in Decision Process of Operatorsーー" Proc.8th AーA Reginal Conference ICID.
• [文献書誌] Jin Soo KIM,Naritaka KUBO and Hiroyasu SHIMURA: "Nonlinear Effect on Water Released Waves in Nonprismatic Channels" Journal of Hydraulic Engineering,ASCE.
• [文献書誌] Brijesh Kumar MEHTA and Akira GOTO: "Design and operation of Farm Ponds in Command Area" Journal of Irrigation and Drainage Engineering,ASCE.