1.サイフォン管のよる取水 溜池から取水する場合、管を堤体の中に通すよりもサイフォンとした方がはるかに経済的である。しかしながら、サイフォン形式とする場合、頂部の空気排除装置が必要である。その諸元の設計手法を論じた。空気排除が最も効率の良いタンク水位の設定方法を明らかにするなど、多くの成果を得た。 2.溜池の水利用 県内の溜池の水質は低下して、農業用水としての使用に対しても一部支障を生じている。この原因を明らかにするため、まず、川の水系毎に溜池の標高と水質の関係を調査した。その結果、標高が高いほど水質がよいことがわかった。このことは、標高が高いほど一般に人口密度が低いことから水質と人間活動の関係を示唆している。そこで、溜池の集水域の人口と水質の関係について調べた。ほぼ直線関係であることがわかり、このことは、溜池の水質の低下の原因は家庭から雑排水であることを示している。 3.溜池地帯の水利統合 溜池は近くに複数存在し、受益面積に対する貯水量の比はすべて異なる。これらの溜池間の水利調整を行う。また、溜池の中には、自流域による降雨のみでは不足し、川からポンプを用いて揚水している例もある。このような溜池地帯において、川から揚水して、その後、降雨があり、揚水が無駄となることも生ずる。そこで、過去における降雨資料に用いて、ポンプによる揚水量が最も少なく、且つ、水不足が生じない貯水量の決定方法を示した。 また、畑地用水計画法の合理化に資するため、消費水量を求める新しい手法の概念を示した。さらに、水田の用水量を全成育期間について、実測し、その特性を明らかにするともに、今後の水利計画の資料を得た。
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