研究概要 |
これまで脱ぷ方式の相違による玄米損傷の特徴については,主として肉眼による比較報告があるが,数値的な解明を与えたものは見られない. 本年度はインペラ方式とゴムロ-ル方式による2つの脱ぷ方式にて脱ぷした玄米の損傷について焦点を当てた.つなわち (1)玄米の2次元投影画像の総面積に対する損傷部面積の比率 (2)1個の玄米に存在する損傷部位の総数 について画像処理技法を用いて究明した.また損傷部領域をより精確に解明するため次の2つの試薬を供試した.すなわち玄米の (1)澱粉に反応するヨウ素溶液 (2)蛋白質に反応するニンヒドリン溶液 の2種類を使用した.さらに損傷部位の領域をより詳細に観察するべく実体顕微鏡を導入し,上記試薬による処理玄米の損傷部領域を上記2種類の脱ぷ方式について比較した.その結果次のことを明らかにした. (1)ロ-ル方式では一定の個体数に対する損傷粒数の割合が少ないが,1個の損傷部領域がインペラ式に比し3〜4倍に達する. (2)インペラ方式では上記割合が多いが,損傷部1個あたりの領域は非常に小さい. (3)ロ-ル式では(1)の割合が2%から23%まで広範囲に分布するが,インペラ式では1〜8%,特に3%の範囲に集中している. (4)ササニシキ,コシヒカリの2種類を供試したが(3)の傾向は品種にはあまり関係なく共通している. (5)肌ずれ面積を評価の因子に選んで脱ぷ方式を評価するときインペラ方式はロ-ル式に比べ損傷部領域が少なく優位である.
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