研究課題/領域番号 |
02452265
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
井上 勝一郎 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (30047790)
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研究分担者 |
濱野 徹 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60172988)
門川 明彦 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00169533)
有川 裕之 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (90128405)
蟹江 隆人 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (70152791)
藤井 孝一 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (60156817)
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キーワード | 義歯床用軟性裏装材 / 動的粘弾性 / 硬さ / ポアッソン比 / 圧縮弾性率 / 硬度計 |
研究概要 |
主要装置である振動リード型粘弾性測定装置を用いて、アクリル系、シリコーン系の各軟性裏装材が義歯床用材料(PMMA)の粘弾性的性質に及ぼす影響について実験を行い、次のような結論を得た。 1)アクリル系、シリコーン系軟性裏装材の貯臓弾性率(E')は、37℃で6.0〜9.5×10^7dyne/cm^2の範囲内にあり、口腔粘膜の弾性率よりも幾分大きな値となった。静的な粘弾性測定法では、圧縮弾性率が3.0×10^6dyne/cm^2となり、E'に比べてかなり小さい値となっているが、これは材料が応力緩和を起こしやすいために生じる現象で、咬合速度によっては材料の変形量が変わることを示している。 2)シリコーン系材料は、アクリル系材料に比べて耐水性、耐熱性があり、使用可能期間が長い。 3)軟性裏装材を裏装すると、義歯床用材料の動的粘弾性挙動はわずかに変化する。とくに、アクリル系軟性裏装を裏装した場合には裏装材の影響と思われる転移が観察された。 以上の結論と平成2,3年度に得られた結論とから、軟性裏装材のように応力緩和が著しい材料では、軟性裏装材の粘弾性挙動と口腔粘膜の粘弾性挙動との重畳としてとらえる方が臨床に促した挙動を把握できると考え、口腔粘膜ならびに軟性裏装材の弾性率あるいは硬さが計測できる硬度計を試作した。この硬度計で得られた硬さから換算した弾性率は、動的測定と静的測定で得られた弾性率の中間的な値を示した。現在は、これらの結果と口腔粘膜の挙動を加え検討中である。今後こうした材料の挙動と粘膜の挙動とを合せたものの違いを患者がどのような感覚の違いとして受け取るかについて検討することを計画している。
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