研究課題/領域番号 |
02452266
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
野口 八九重 奥羽大学, 歯学部, 教授 (80083434)
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研究分担者 |
越中 優 奥羽大学, 歯学部, 助教授 (10094939)
増原 英一 奥羽大学, 歯学部, 客員教授 (00013772)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | ジルコニウム / ジルコニウム-チタン合金 / 歯科鋳造 / 鋳巣 / 物性 / 放電加工 / 耐食性 |
研究概要 |
本研究では、チタンより耐食性に優れるとされるジルコニウムを歯科に応用することを目的に、主に大きく2つの研究を行った。 その第1は、純ジルコニウムに関するもので、これの鋳造を試み、その鋳巣および物性を調べるとともに、放電加工の可能性についても検討した。第2は、ジルコニウム合金に関するもので、生体親和性を劣化させることなく、物性に優れた合金の開発を目的として、耐食性や生体親和性のいずれにも優れるジルコニウムと同族のチタンとの合金を試作、この合金の物性および耐食性について組成との関係を検討した。 その結果、純ジルコニウムは純チタンに比べ鋳巣が発生しやすく、鋳造が困難なことが明らかになった。しかしその鋳巣は、鋳型およびインゴットを大きくすることによってチタンと同程度まで減少させ得ることが判明したが、物性は純チタンと同程度であり、また放電加工を行っても、放電が持続せず、安定した加工は不可能であったことから、純ジルコニウムをそのまま利用することの利点は見出せなかった。 しかしながら、ジルコニウム-チタン合金の物性は、見るべきものがあり、チタンがジルコニウムの材質改善に極めて有効なことが分かった。なかでも、チタンを40%添加した60%ジルコニウム-40%チタン(50:50At%)合金が最も強く、ADA規格の金合金TypeIVと同等ないしはそれ以上の物性に相当することが判明した。また、自然電極電位およびアノード分極特性から見て、チタンが60%以上であるジルコニウム-チタン合金は、不動態被膜の形成が速く、しかも強い被膜を形成することが明からとなった。 以上のことよりジルコニウムの歯科的利用に当たっては、チタンと合金化することが望ましいことが明らかとなった。今後は、この合金の鋳造精度を中心に、さらに研究を続行する計画である。
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