研究課題/領域番号 |
02452267
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
花野 学 東京大学, 薬学部, 教授 (60012598)
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研究分担者 |
鈴木 洋史 東京大学, 薬学部, 助手 (80206523)
澤田 康文 東京大学, 医学部, 助教授 (80114502)
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 助教授 (80090471)
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キーワード | 受容体介在性エンドサイト-シス / 上皮成長因子(EGF) / ダウンレギュレ-ション / 内在化 |
研究概要 |
(1)EGFをin vivoの条件下で、ラット静脈内に投与後血中濃度、臓器中濃度推移を解析し、全身クリアランス、各臓器への取り込みクリアランスを算出した。血中からの初期消失の約60%が肝へ、20%が腎への取り込みで説明できることがわかった。また、循環血液のみならず、肝静脈、腎静脈中のEGF濃度を測定した実験結果も、この結果を支持した。投与量を変化させて臓器取り込みクリアランスを測定すると、肝、腎、小腸、胃などの臓器において、明確な飽和性の取り込みの生じることが示された。肝増殖因子(HGF)についても、同様の確析を行ったところ、やはり、肝、腎、肺などによく取り込まれることが示された。 (2)EGFをin vivoで、ラットに過剰量投与し、各臓器表面の受容体をダウンレギュレ-トさせた後、臓器表面への受容体の回復過程をトレ-サ-キネティクスの手法で追った所、肝の受容体のみ、半減期約30分程度で素早く表面に帰還することが示された。一方、腎など他の臓器においては、半減期、数時間以上であり、この律速段階は、必ずしも表面への帰還ではなく、受容体の合成速度が回復の律速段階になる可能性も示された。 (3)肝、腎での灌流実験を行い、EGFの挙動を速度論的に解析することにより、次のことがわかった。(i)生理的血流速度の条件下で、肝、腎を一回通過することにより、それぞれ、約80%,20%のEGFが除去を受ける。(ii)内在化の半減期は、両臓器ともに約数分であり、早い過程であった。(iii)それに比べて、細胞内での代謝過程の半減期は、約数時間とはるかに遅い過程であった。そのほかに、受容体への結合速度(kon)、解離速度(koff)、受容胞体密度を算出することにも成功した。
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