研究概要 |
(1)ラット肝遊離細胞を用い、種々の濃度の非標識体存在下トレ-サ-濃度の ^<125>IーEGFのassociationを37℃および0℃で測定した。細胞表面EGFをacid washing法により分離定量し、さらにmedium中への分解物の出現の時間推移も併せて測定した。これらのデ-タをすべて併せて速度論的に解析した結界、以下のことが明らかとなった。(1)EGFと結合したレセプタ-はフリ-のレセプタ-より少なくとも数倍は速い速度で内在化をうけ、これが細胞表面レセプタ-のダウンレギュレ-ションの速度論的裏付けとなること。(2)得られたEGFの速度論的パラメ-タ-を前年度肝潅流実験系を用いて得られたそれと相互比較した結果、レセプタ-からの解離速度定数(koff)、レセプタ-の密度(Rs)あるいは内在化速度定数(kint)などのパラメ-タ-は、両系でほぼcomparableであった。これに対し、結合速度定数(kon)は潅流系で得られた値の10倍であった。この理由として、肝潅流系の細胞間液スペ-スに存在する非撹はん水層中のEGFの拡散速度が、細胞表面への結合過程の律速となっている可能性が考えられる。(2)EGFの遊離肝細胞への内在化に及ぼす、ペプチド類の特異的内在化阻害剤phenylarcine oxide(PAO)の効果を検討した。その結果EGFの肝細胞への内在化過程にはPAOーsensitiveとinsensitiveなものが存在することがわかった。現在2つの過程のもつ生理的意義を解析中である。(3)(1)と同様の手法を用いてHGFのラット初代培養肝細胞との結合実験を行った結界、37℃においては、表面結合量は速やかに定常に達し、また内在化量は0℃に比べて明確な温度依存性が観察され、HGFの肝移行動態に内在化が関与していることが明らかとなった。(4)ラット腎潅流系を用いてEGFの腎における除去機構を解析した。その結界EGFは腎の血管側細胞膜上のレセプタ-に高親和性の結合をした後,内在化をうけて細胞内に取り込まれることが明らかとなった。
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