研究概要 |
ガンマ10タンデムミラ-のセントラル部に設置された高周波アンテナにより,円周方向モ-ド数mを制御し,アルベン速波と遅波を選択的に励起した。まず,励起波の分散を磁気プロ-ブで調べ,それぞれアルベン波であることを確認した。次に,アンカ-部へ伝搬するアルベン波の特性を調べた結果,波の偏波方向が逆転することが分った。すなわち,セントラル部プラズマの中心部で右回り(左回り)偏波であるm_1=+1(-1)の速波(遅波)を励起すると,極小磁場アンカ-部では左回り(右回り)偏波になる。この現象を説明するため,4重極磁場によるm_0=±2の非軸対称成分により波が変調され,m_1=+1(-1)の励起波がm_2=-1(+1)の波にモ-ド変換するはずであるというモデルを提案した。円周方向のほか,磁力線方向の波数K_1も,不均一磁場成分±K_0により変調され,ちょうどm_2=m_1±m_0,K_2=K_1±K_0の共鳴条件を満たす時に効率よくモ-ド変換が起るはずである。実際,理論的に非軸対称磁場中のアルベン波の結合方程式を定式化し,近似解として,周期的に弱い4重極磁場中での解析解を求めた。その結果,上記モデルの妥当性が示され,かつ,4重極成分がなくなると速波と遅波間のモ-ド結合は起らないで独立に伝搬することが分った。 ガンマ10セントラル部で高周波加熱をし,ベ-タ値βが上昇すると共にイオン温度の非等方性(磁力線に垂直方向温度T_〓と平行方向温度T_<11>との比で定義)が大きい時,イオンサイクロトロン周波数により僅かに低い磁場揺動が観測された。βとT_〓/T_<11>とがある値より大きい領域で揺動が発生し,両者の増大と共に揺動レベルが増大することが観測された。磁気プロ-ブ測定等により,アルベン・イオンサイクロトロン不安定であると同定した。また,この揺動の発生に伴い,温度非等方性が緩和する現象も初めて観測された。
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