研究概要 |
ガンマ10タンデムミラ-のセントラル部に設置された高周波アンテナにより励起されたアルベン波が極小磁場領域に伝播して行く時,モ-ド変換することが磁気プロ-ブ測定から分り,その物理モデルが先年度作られた。今年度はこのモ-ド変換波によるアンカ-部イオン加熱を直接検出するため、可動型、リップルキャンセル型反磁性ル-プを新たに設置した。その結果、セントラル部で右回り偏波のアルベン速波を励起した時のみイオンが強く加熱され、左回りの遅波励起の場合には加熱されないことが分った。このことはモ-ド変換の効率は非常に高いことを示しており,先年度のプロ-ブ測定結果とよく一致する。また,磁力線方向の2ケ所に設置されたアンテナ間の電流位相を変えることにより,速波の励起や伝播方向を制御し,アンカ-部の加熱を制御できることが分った。アンカ-部プラズマのベ-タ値を高くすることは巨視的不安定性を抑え,セントラル部のベ-タ値を高くするために充要である。セントラル部とアンカ-部のベ-タ値をできるだけ独立に広範囲に変化させることにより,巨視的不安定性限界が実験的に求められた。セントラル部プラズマが等方的温度を有していると仮定して得られるフル-ト不安定性の現淪限界値より一桁以上も高いベ-タ値まで安定である。この違いは,セントラル部プラズマ温度の非等方性を考慮することにより説明できた。一方,セントラル部で観測,同定された微視的不安定;アルベン・イオン・サイクロトロン不安定磁気揺動による温度非等方性の緩和現象を幾つかの独立な測定法(小型ファラデ-カップ,二次電子検出器,飛行時間型粒子エネルギ-分析器,反磁性ル-プアレイ)により検出することができた。更に,この微視的不安定性発生と同期して,ロスコ-ン中の高エネルギ-イオンが増大することが初めて観測された。
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