研究概要 |
FRCプラズマ実験装置FIXにおける移送プラズマのイオン温度を中性粒子ビ-ムの小角度散乱法により測定するための中性粒子エネルギ-分析器の製作を行なった。FIX装置によるFRCプラズマのイオン温度(重水素プラズマ)は50eV程度と予想される。このとき入射ビ-ムとして10keVのヘリウムビ-ムを用いると,散乱角を10゚とした場合散乱ビ-ムのエネルギ-分布は,E_0〜__ー9.4keVにピ-クを持ち△E〜__ー580eVの半値全巾を持つガウス分布になると考えられる。従ってエネルギ-分解能が1%以下のエネルギ-分析器が必要となる。そこで測定子としてMCP(Micro Channel Plate)を用いた磁場偏向型の中性粒子エネルギ-分析器を製作した。この分析器に入射した中性粒子は水素もしくは窒素ガス中でイオン化した後,90゚偏向型のマグネットを用いてエネルギ-分析し,MCPによって検出する。本装置で使用するMCPは浜松ホトニクス社製F2814ー23MXで消耗品費を充当して購入した。その形状は、50mm×50mmの正方形で,アノ-ドが面内に一様に400個配置されているタンデム型MCPである。実験ではこれらアノ-ドからの信号をエネルギ-分解能や信号量を考慮した上で何本かを束ね,増巾器を通した後AーD変換器でデ-タを取り込む。FRCプラズマ測定においては,イオン温度のプロファイル測定や散乱角を変化させて測定することを考え,測定装置全体が上下可動でかつビ-ムの入射方向に対して上下10゚の傾きを持たせることが可能な設計になっている。なお測定装置の真空容器は,盛島製作所製のNPAーV1を備品として購入し磁場偏向マグネットについては校費を充当することとした。 今後は今回製作した中性粒子アナライザ-の中性粒子ビ-ム装置を用いた較正及びFRCプラズマにおけるイオン温度測定を行なう。
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