研究概要 |
大電流負イオン源開発を目標として,バケット型負イオン源でのH^-生成並びにH^-引き出しの高効率化を実験的並びに理論的に検討した。本年度の研究成果を以下に要約する。 1.磁気フィルタ-のH^-生成に及ぼす影響を明らかにした。 (1)磁気フィルタ-によりイオン源内プラズマは2分され,フィラメントのある上流側は高エネルギ-成分の電子が多く含まれる振動励起分子H_2生成に適する高密度プラズマ域,引き出し孔のある下流側はTe〜^^<1eVでH^-生成に適する低速のプラズマ電子のみの低密度プラズマ域となる。 (2)フィルタ-を引き出し電極に近づける程H^-電流は増加するが,これはH^-生成の2段階過程が最適化されるためである:H_2+e_f(40eV以上)→H_2+e_f,H_2+e(Te〜__ー1eVの低速プラズマ電子)→H^-+H。 2.H^-電流引き出しとプラズマグリッド電位Vbの関係を明らかにした。 H^-引き出しに対してVbには正のある最適値(プラズマ電位に近い)が存在する。Vbの値により引き出し域のプラズマパラメ-タは変化しており,プラズマ中に静電的に捕捉されているH^-を引き出し孔に効率よく輸送することのみがVbの働きではなく,H^-生成にも影響している。 3.磁気フィルタ-は高速電子のみを選択的に反射させているが,その機構を粒子シミュレ-ションにより解明した。電子は揺動電場〓とフィルタ-磁場〓による〓×〓ドリフトによって磁気フィルタ-を通する。有限ラ-マ-半径効果により高速電子ほどドリフトが小さくなるため,低速電子のほうが磁気フィルタ-を通過しやすい。磁気フィルタ-近傍にのみ低域混成波領域の揺動が励起されることを実験で確認した。 4.レ-ト方程式を基礎とした負イオン源モデルを作成し,このモデルを用いた数値シミュレ-ションによりH_2生成並びにH_2分布の電子エネルギ-依存性を明らかにした。
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