研究概要 |
情報学において解決すべき多くの最適化問題の中から以下の4課題を選び、主に基礎的研究とアルゴリズムの開発を進めた。 1.分散処理・分散デ-タベ-スの最適化に関する研究:分散処理における相互排除のメカニズムとして用いられるコテリ-の概念に対し,ブ-ル代数を利用した理論的特性づけに成功した。これにより,コテリ-の理論的性質が明示化され,その最適化の定数および方法がはっきりとした。現在,基礎となるネットワ-クがリング状である場合について最適コテリ-の構造が明らかにされている。 2.VLSIの最適設計に関する研究:この分野に現れるほとんどの問題は典型的な組合せ最適化問題である。本年度は関連するグラフ理論の問題のうち,グラフに最大個数のチェインを重ねることなく詰める問題、およびグラフの2分割問題において,得られる節点集合の位数に制約がある場合について研究を行い,それぞれ問題の複雑さとアルゴリズムに関する知見を得た。 3.問題解決手法の高効率化に関する研究:本年度は演繹デ-タベ-スの質問処理アルゴリズムを中心に研究を進め,処理にともなう計算量を簡単に評価できる近似式を提案するとともに,効率的処理法の一般的枠組として緩和法を提案した。 4.最適スケジュ-リング問題に関する研究:動的計画法に基づく1機械スケジュ-リング問題の最適化アルゴリズムを開発し,その効率の良さを計算実験でたしかめた。また,より実用性のあるジョブショップ問題についても研究を進め,ボトルネック機械に注目した近似アルゴリズムを開発した。
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