研究課題/領域番号 |
02452284
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂田 誠 名古屋大学, 工学部, 助教授 (40135306)
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研究分担者 |
高田 昌樹 名古屋大学, 工学部, 助手 (60197100)
原田 仁平 名古屋大学, 工学部, 教授 (80016071)
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キーワード | マキシマム・エントロピー法 / 電子密度 / 水素結合 / X線回折 / 精密構造解析 / 中性子回折 / 粉末回折 / 放射光 |
研究概要 |
本年度は、昨年度の研究をさらに発展させ、本一般研究で購入したX線回折装置により、詳細な電子密度分布を得るだけでなく、放射光による研究あるいは中性子回折による原子核密度を求める研究を行った。放射は光による研究では、放射光の様な平行ビーム系に対するソーラースリットの作成を行ない所定の性能が得られることを確認した。これにより、今後有機物の様な、より複雑な化合物中での水素の電子密度分布を求める研究に、新しい展望が開けた。また、放射光とイメージングプレートを組み合わせた実験により、ハイドロキシアパタイトの構造を研究した。ハイドロキシアパタイトは、水素の電子密度だけでなく、種々の興味がある。ハイドロキシアパタイトは歯の主要構成要素であり、配向に関しても、大変興味があるが、本研究により、配向に関しても重要な知見を得ることが出来た。その他方法論に関する研究も、興味のある知見が得られている。これらの結果は、国内の学会での発表に加え、昨年11月13日〜16日にシンガポールで開催された、第1回アジア結晶学会で7件の講演を行った。更に、研究代表者は、マキシマムエントロピー法を結晶学に導入した功績により、平成4年度日本結晶学会賞を授与された。その授賞理由の一端は、本一般研究による成果によるものである。現在、マキシマムエントロピー法による電子密度分布の研究は、さらに発展をしている。昨年度は、氷の電子密度分布を求めることにより、水素結合している際の電子密度を求めた。本年度は、LiHの電子密度を求めることにより、水素結合に関与していない時の水素の電子密度分布を明らかにした。水素結合をしている時は、共有結合的電子密度分布をするのに対し、LiHでは水素が非常に球状の電子密度分布をしていることが判明した。これは、対称的な結晶場による効果であろう。また、水素は、負のイオンとして存在することもわかった。
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