重水炉及び核燃料再処理を初めとして核融合反応実験装置などにおける高濃度トリチウムのinーsitu且つ非破壊測定法の開発という観点より、制動X線計測法の適用性を検討するために、肉厚の異なるガラス及びアルミニウム合金製計測管材料を用いて、主としてトリチウム量と制動X線計数率との関係について実験的に調べ、制動X線スペクトルの測定も一部行った結果、以下のような知見が得られた。 (1)0.5から2.0mmの範囲で厚みの異なるガラス製計測管を製作し、制動X線計数率を測定した結果、何れの計測管でも制動X線計数率はトリチウム量に比例するが、計測管材料の厚みの増加と共に計数率は著しく減少し、その減少傾向は厚みの-2.4乗に比例することが知られた。更に、ガラス表面におけるβ線の制動X線への転換効率は、1.7x10^<-5>(photons/βーparticle)であることが知られた。 (2)計測管材料をガラスより20%程度密度の大きいアルミニウムに変えた場合、得られる制動X線計数率は約1/8に減少し、計測管材料の僅かな密度変化が制動X線の吸収過程に大きく影響することが知られた。 (3)厚みが1.0mmのガラス製計測管から放出される制動X線スペクトルは、11.2keVにピ-クを持ち、計測管内表面で発生する光子数の大部分が計測管材料中でほとんど吸収されており、これを解消するためには計測管材料を薄くすると同時に低原子番号材料で製作することが必要であることが知られた。 (4)従って、より高感度の実用的な計測管を製作するためには、計測管材料として低原子番号材料でかつ薄いものを用い、更にトリチウムが接触する計測管の内表面には極めて薄い高原子番号材料を密着させたような複合材料製計測管が適当であるという指針が得られた。
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