研究課題/領域番号 |
02453009
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
榎 敏明 東京工業大学, 理学部, 教授 (10113424)
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研究分担者 |
鈴木 和也 東京工業大学, 理学部, 助手 (80206466)
宮島 清一 日本大学, 文理学部, 専任講師 (30157648)
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キーワード | グラファイト層間化合物 / 金属水素 / ホ-ル効果 |
研究概要 |
グラファイト層間にアルカリ金属ー水素ーアルカリ金属三重原子層の挿入された物質系、カリウムー水素ーグラファイト層間化合物及びナトリウムー水素ーグラファイト層間化合物の磁気抵抗、ホ-ル効果、電気伝導度、熱起電力の実験を行った。第1及び第2ステ-ジーカリウムー水素ーグラファイト層間化合物のホ-ル係数は液体ヘリウム温度から室温までの測定全温度領域で電子的であるが、大きな温度依存性を持つ。第1ステ-ジ化合物においては、100K付近にホ-ル係数の最小値を持つ。この様なホ-ル係数の挙動は、グラファイト層上にあるπ電子キャリア-種類では説明できず、グラファイト層間の金属水素層に存在する正孔キャリアとグラファイト層上の電子キャリアの2つのキャリアの共存する系として説明できる。又、8Tまでの電導度テンソルσ_<xx>,σ_<xy>の挙動もこのことを支持している。2キャリアモデルを用いてこれらのデ-タを解析した結果、電子、正孔キャリア共、10^2〜10^4cm^2/VSという大きな移動度を持つことが明らかとなった。ナトリウムー水素ーグラファイト層間化合物はカリウムー水素ーグラファイト系に比べて、よりイオン性の強い電子構造を持つ。層間電気抵抗はホッピング伝導機構で説明され第4ステ-ジ化合物で最小の比抵抗となる。熱起電力は主要キャリアが電子的であることを示唆しており、π電子のフォノンドラッグ効果により説明されることが明らかとなった。ステ-ジ数の増加に判い、熱起電力の絶対値は減少する傾向を持ち、この傾向はカリウムー水素ーグラファイト系と逆の傾向であり、現在、その機構について検討を行っている。さらに、低温領域において、熱起電力が正孔的になることが明らかになった。このことは、グラファイト層間のナトリウムー水素ーナトリウム層中にわずかの正孔が存在することを示唆しているものと考えられる。
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