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1991 年度 実績報告書

ファンデルワ-ルス錯体型ラジカルイオンの発見とその光誘起反応の素過程

研究課題

研究課題/領域番号 02453017
研究機関京都大学

研究代表者

志田 忠正  京都大学, 理学部, 教授 (60025484)

研究分担者 百瀬 孝昌  京都大学, 理学部, 助手 (10200354)
加藤 立久  京都大学, 理学部, 助手 (80175702)
キーワードファンデルワ-ルス錯体 / ラジカルイオン / 光異性化 / ベンゼン / エチレン / オクタテトラエン / フレオン / 多光子イオン化
研究概要

自由噴流法と多光子イオン化法の普及に伴って気相でのファンデルワ-ル(vdW)分子イオンに関する研究が進展しつつある。しかし液体などの凝縮相中でのvdW分子は概念自体が曖昧であり、電荷移動錯体のような既成概念とは区別されるベき弱い結合の錯体についての研究は殆ど見当たらない。本研究では中性状態で極めて弱い相互作用しかしていない二成分錯体をイオン化すると相互作用が著しく大になる系を見出した。さらにこのイオン化した錯体を光励起すると容易に異性化反応が起こりその素過程を逐次追跡することも可能なことが分かった。具体的には二成分としてベンゼンとエチレンの系を取り上げた。溶媒は二成分のいずれとも殆ど相互作用しないフレオンを用いた。二成分をフレオンに溶かし77Kでガンマ-線照射するとベンゼンのみあるいはエチレンのみをフレオンに溶かした系では見られない強い電子吸収帯が1〜2eVに出現する。この吸収は錯体の正イオンにおける電荷移動によるものである。この吸収帯に相当する光で系を照射すると途中いくつかの中間体を経て最終的にオクタテトラエンのラジカルカチオンに異性化することが分かった。即ち中性では極めて安定なベンゼン、エチレンが一旦イオン化されると簡単に光励起反応を起こすわけであり閉殻型電子構造の錯体に対し開殻型電子構造の錯体は化学的に顕著な差をもつことを示している。上の系においてエチレンの濃度を大きくしていくとベンゼン一個にエチレン二個が反応したC_<10>H_<14>のラジカルカチオンになることも分かったが生成物も原子価異性体とトリエン誘導体であることが分かった。初めに述べた気相でのvdW分子イオンの研究は目下のところ電子基底状態の振動分光などに留まっているが短波長レ-ザ-が使用できるようになると本研究で行なったような電子励起状態の研究が気相でも可能となる。この意味で本研究は魁的性格を持つといえる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Tsujii,Y: "Studies of conformation and electronic structure of the radical cations of 2,4ーdi(Nーcarbazolyl)pentane…" J.Phys.Chem.95. 8635-8640 (1991)

  • [文献書誌] Fujisaka,Y: "Novel photochemical reactions of C_8H_<10>radical cations" J.Phys.Chem.(1992)

  • [文献書誌] Matsushita,M: "Novel organic ions of highーspin states.II.Determination of the spin multiplicity of the ground state and HーENDOR study of the monoanion of PBPM" J.Amer.Chem.Soc.

  • [文献書誌] Shinohara,H: "Encapsulation of scandium trimer in fullerenes" Nature.

  • [文献書誌] Kawashima,H: "Vibronic quantum beats in onーresonace pumpーprobe experiments" J.Chem.Phys.

  • [文献書誌] Matsushita,M: "ESR studies of the radical cation of methane at 4ー11K:Analysis of tunneling" J.Chem.Phys.

  • [文献書誌] Kuchitsu,K.,Ed.: "Dynamics of excited molecules" Elsevier Scienece Publishers, ca.300 (1992)

  • [文献書誌] 梶本 興亜編: "クラスタ-の化学" 培風館, 305 (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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