研究概要 |
(1)右のスキ-ムに示す二つのル-トにより環化前駆体(1)を合成した。これの分子内Reformatsky反応をSmI_2を用いて行い環化成績体(2)を得た。この化合物をβーヒドロキシエステル構造を有しているので、特に歪のかかった中員環化合物はレトロアルド-ル反応による開環の恐れがあるため、同一容器中でアセチル化し、3として単離した。その結果、右表に示すように14,15員環などの大員環はもちろん、8,9員環といった中員環化合物が好収率で得られることがわかった。反応は右図に示すように、サマリウムエノラ-トを経て進行していると考えられるが、中員環化の高い歪に打ち勝ってモノマ-生成に有利なキレ-ト構造がとれるのは、サマリウムの特性である高い酸素親和性、高配位数、長いイオン半径などが有効に働いたためであろう。本環化反応は、ほぼ中性条件下きわめて効率よく進行するので、まだ未開発の部分が多い中員環化合物の化学の分野に於てこれらを合成するための優れた方法の一つとなろう。(2)第二の環化法であるωーオクソハロゲン化アリルの反応はまだ検討していない。なお、第三の環化法として、ケトンとアルキンとの還元的カップリングや、α,βー不飽和エステルの還元的二量化による環化反応も試みたが、分子間反応は迅速に進行するものの中員環合成には有効でないことが明らかになった。
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