研究概要 |
カイコ五齢幼虫の体液をキチン粉末によるアフィニティ-クロマトグラフィ-により、中性条件で流出するフラクション(通過画分)と0.1N酢酸で流出するフラクション(リゾチ-ム様画分)に分画.双方の画分に溶菌活性(Mierococus Lysodeikticusを使用)が認められたが、リゾチ-ム様画分にのみ単独で大腸菌に対する抗菌活性が認められた。リゾチ-ム様画分をTSKgel HW50を用いたゲル3過クロマトグラフィ-により分画、アフィニティ-クロマトグラフィ-で得られた通過画分と組み合わせた時抗菌活性を示すフラクションの主要部分は、単独でも抗菌活性を示すことが明らかとなった。活性フラクションを一 つにまとめて脱塩し、凍結乾燥後、再度同じゲル3過クロマトグラフィ-で精製し、得せれた活性部分をCMーToyopearl 650を用いた陽イオンを交換クロマトグラフィ-により分離を行った。主成分は保持時間の短いものであったが溶菌活性も含めてなんら活性を示さず、比較的保持時間の長い塩基性のフラクションに相当するところに溶菌活性を示す成分が2種類得られた。これらのうち1種類のみが単独でも抗菌活性を示した。この成分は酸性緩衝液とアクリルアミドゲルを用いた電気泳動で単一のバレドを示し、卵白リジチ-ムより強い塩基性を示した。この成分は先にカイコ体液中に存在すると報告された抗菌物質と同一の物質であろうと推定される.この物質の抗菌活性は前述の通過画分と組み合わせた時に、大巾な活性の増強がみられ,明らかに複合作用が存在することが示された。現在純粋なリゾチ-ム様物質と組み合わせることにより抗菌活性を増強させる物質を通過画分により分離中である。
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