研究概要 |
1.購入した人工気象器の中で、周期的に運動(就眠運動)を行う植物であるオジギ草、コミカンソウ、ナンキンマメを育成した。そして、日照周期を変化させて植物の運動を観察することにより、これら三種の植物にかなり正確な体内時計が存在することを確認した。さらにこれらの植物より、閉葉作用を示す活性成分を純粋に得る為、人工気象器内での各々の植物の葉を用いた活性テストを検討したところ、日照時間14時間,温度28℃,湿度70%の条件下で、高感度かつ再現性の良いテストが行えることが判った。そこで、この活性テストを指標にして、各植物の抽出物の分離を進めた。 2.オジギ草100kg、コミカンソウ30kg,ナンキンマメ50kgより得たメタノ-ル抽出物を水と酢酸エチル、次いでnーブタノ-ルで分配し、閉葉作用が認められる水溶液部分について、カラムクロマトグラフィ-(担体:Shephadex Gー10,Toyo pearl HW,TSK gel,活性炭)を用いて分離し、各々の植物の活性分画を得た。さらに、この分画を中圧クロマトグラフィ-(カラム:ODS,Toyo pearl HW,MCI gel),次いで種々のカラムを連結したHPLCを駆使して分離・精製したところ、各々の植物の活性物質を単離することに成功した。しかし、オジギ草とナンキンマメに関しては、単離された量が非常に少なかった為、各種スペクトルデ-タを測定するには至らず、大量分画の最終精製を急いでいる。一方、コミカンソウからは、10^<-2>g/lの濃度で閉葉作用を示す物質を約1mg得た。この物質は、その ^1HNMRスペクトル及び類似化合物との比較により,ヒドロキシケイ皮酸の基本骨格を有し、さらに恐らく炭素数が数個の構造未知の部分が存在しているものと推定された。このような化合物は、新しいタイプの閉葉物質であり、現在、全構造を決定する為に各種誘導体へ導くことを検討している。
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