研究概要 |
1.高分子化合物におけるクラック発生機構の解明:ボリカ-ボネ-トおよびポリチルメタクリレ-トとメタノ-ル、エタノ-ル、DMF、DMSO、アセトン、水との間の相互作用をNMRmicroimagingで視覚化後、クラック発生の時間変化、新たに生じたクラック面と従来の面の溶媒に対する応答性の違い、溶媒の浸透速度、高分子の膨潤速度を求めた。常磁性化合物による速度論的取扱いは、継続して研究中である。 2.粘土鉱物における水の吸着機構とIntercaltion:(1)水分含量の少ない試料に関しては ^<17>O, ^<23>Na, ^<27>Al, ^<29>Siの固体MAS/NMRにより水吸着に伴う粘土鉱物の状態変化を検討した。(2)モンモリロナイトやベントアイト、サポナイトの層間陽イオンは、他の陽イオンで容易に交換される事を利用して間接的に層間における反応性を検討した。粘土鉱物の表面電荷密度と電荷分布およびそれらに依存して決まる層間の広がりの度合いが層間の分子の挙動を決める重要な因子である事が明かとなった。(Anal.Sci.,7:431ー434(1991)) 3.非晶質アルミノシリケ-トの焼成過程における構造変化:アルカリ金属イオン(Li^+、Na^+、K^+)の共存下においては、結晶化過程におけるAlの配位状態の変化及び最終生成物の構造に差異のある事が解明された。(J.Am.Cer.Soc.,投稿準備中)Li、NaおよびK核の固体NMRによりアルカリ金属の状態を検討中である。 4.アルミノシリケ-トのAlをPに、SiをGeに置換した化合物の合成を終了し、焼成過程の熱測定、粉末X線測定PーおよびAlーNMR測定を終了。ラセミックス生成機構の違いを見出した。(J.Am.Cer.Soc.,投稿準備中) 5.AlーEDTA錯体の反応性の研究:本研究の過程で5配位されたAl錯体の存在とAlイオンの周囲の配位子の電荷の対称性は高い事がNMRから示唆された。通常、Al錯体は4または6配位されると考えられてきた。5配位のAl錯体の構造や安定性を解明するためにEDTA錯体を取り上げ、反応性を検討した。(Anal.Sci.,7:429ー430(1991))
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