研究概要 |
1.乳化液膜ー高濃縮分離ー原子スペクトル分析法の研究 実験室レベルでの超微量元素の高濃縮法の構築と原子スペクトル分析法との結合を目的として検討し、精製水中のCr,Mn,Co,Ni,CuおよびCdの濃縮法とその黒鉛炉原子吸光定量法を複合化させる方法を確立した。SPAN80,PCー88Aおよび流動パラフィンを含むケロシン溶液と希塩酸を1:1で混合して調製したW/Oエマルジョンの2mlと検水1000mlを混合した後、浮上してきたW/Oエマルジョンと2ーエチルヘキサノ-ルをフロ-法で混合して解乳させ、水相を黒鉛炉原子吸光分析にかける。このシステムにより模擬原子炉冷却水ならびに精製水中の上記金属イオンのpptレベルでの定量が可能になることを明らかにした。2.溶媒抽出ー逆ミセル系反応を用いる化学発光法の研究 逆ミセル中でのルミノ-ルー過酸化水素系化学発光がFe(III)ーオキシン錯体によって著しく触媒されることを見い出し、これが反応場としての逆ミセルの特異性を解明するプロ-ブに利用できることを明らかにした。また、塩化金酸は逆ミセル中のルミノ-ルと反応して化学発光を光じることを見出し、subーppbレベルの金の定量に応用できることを明らかにした。3.電気透析中和ーイオンクロマトグラフィ-の研究 チュ-ブ状イオン交換膜を二重構造にしたモジュ-ルを試作し、これに電気透析の手法を取り入れて強酸性もしくは強アルカリ性試料を中和して、イオンクロマトグラフィ-に供試するシステムを開発した。この方法により、強酸性試料中のCa,Mgならびに強アルカリ性試料中のハロゲン化物イオンの定量を行った。4.気化分離ー気相化学発光法の研究 ケイ酸がLiAIH_4と混合して加熱することによりシランへ還元できることを見い出すとともにシランとオゾンとが気相で化学発光反応を起こすことを明らかにした。この現象を利用すれば水試料中のケイ酸の定量が可能となることを確認した。
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