研究課題/領域番号 |
02453035
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
平良 初男 琉球大学, 理学部, 教授 (70044998)
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研究分担者 |
木村 政昭 琉球大学, 理学部, 助教授 (20112443)
棚原 朗 琉球大学, 理学部, 助手 (00217100)
大森 保 琉球大学, 理学部, 助教授 (00045022)
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キーワード | 沖縄トラフ / 熱水活動 / 熱水鉱床 / 堆積物 / チムニ- |
研究概要 |
沖縄トラフ海域における熱水活動の調査は1984年のDELP沖縄航海以来、ゾンネ号、淡青丸、白鳳丸およびしんかい「2000」などによって活発に行なわれてきた。本研究では主にゾンネ号やDELP航海およびしんかい「2000」の調査による熱水性鉱物試料を中心に、その鉱物組成や化学組成、および放射年代学的考察をとうして、熱水活動の時間的要素や生成鉱物の地球化学的検討をおこなった。 沖縄トラフ海域の一部である伊平屋海域で採取されたDELP'88OKPCHFー6の柱状試料のPbー210法による体積速度は約1.0mm/y前後であり、底質表面におけるPbー210濃度は100dpm/gに達し、沖縄トラフの他の海域での値の約10倍になる。同海域ではその他、Mnや安定Pbの値も底質表面で高く、近傍における最近の熱水活動の影響を多少受けているものと考えられる。 また、同じ沖縄トラフ海域の伊是名海穴から採取された熱水鉱床にはBa(1〜26%)、Zn(0〜11%)、Sb(0〜2%)およびAs(0〜3%)を含有し、Ag(0〜0.5%)、Hg(4〜430ppm)およびAu(0〜8ppm)を含むことが特徴的である。さらに、ウラン系列やトリウム系列核種を含んだ試料もあり、これらの試料はさらにラジウム(Raー228、Raー226)やPbー210が高く、方鉛鉱の形成に伴ってこれらの核種が濃縮されたものと考えられる。Thー228/Raー228やPbー210/Raー226の放射能比が平衡値よりかなり小さく、熱水活動がごく最近(数年〜数十年)活発化してきたことが推察される。 チムニ-を形成する鉱物は主に重晶石、閃亜鉛鉱、方鉛鉱からなっているが、一部白色鉱物は炭酸塩からなり、炭素同位体比(δ^<13>:ー6.6〜ー4.60/00)から海水起源の寄与は少ないことが推定される。
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