研究概要 |
複核錯体形成能を有するテトラアセチルエタナト配位子(taet)とNーアルキルエチレンジアミン(diam)を用いた複核混合配位子錯体,[M2(diam)2(taet)]X2,やジケトン(dike)とdiamを含む単核混合配位子錯体,[M(diam)(dike)]X,を一つの配位子と見立てて架橋配位子(aーa)を使った複核錯体,[(diam)(dike)M(aーa)M(diam)(dike)]および三核錯体,[M3(diam)2(dike)2(a'ーa')2]等の合成に成功した。得られた新化合物の構造や物性測定は、以下のものである電子スペクトル・ESR,NMRスペクトル・IR(NormalおよびFT)スペクトル・固体単結晶XーRay構造解析・TGーDTAーDSC・溶液の電気伝導度・磁化率の温度変化等。これらの結果から得られた錯体の構造、溶液内平衡、電子状態を明らかにする事ができ、複核錯体が安定に存在するための要因は、配位子の立体構造と配位能の強さ、錯体の電子配置、適当な配位子の組み合わせが重要であることが明かとなった。つまり、今までに研究してきた単核混合配位子錯体における鍵と鍵穴の関係にある立体的な組み合わせは、ここでも重要なファクタ-であることが明かとなった。その他、いくつかのクロモトロピズムも観測された。また、単核錯体では決して見られなかった金属間相互作用が本研究で得られた化合物でみつかりこれらの相互作用について磁気的或いは分光学的研究を行っているところである。これらの結果の一部は既に関連学会での口頭で発表し、また、いくつかの結果は学会誌に報告している。
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