研究課題/領域番号 |
02453045
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 謙一郎 東北大学, 理学部, 教授 (00004276)
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研究分担者 |
吉田 武義 東北大学, 教養部, 助教授 (80004505)
土谷 信高 東北大学, 理学部, 助手 (50192646)
長谷中 利昭 東北大学, 理学部, 助手 (50202429)
藤巻 宏和 東北大学, 理学部, 助教授 (90133933)
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キーワード | RbーSr年代 / アイソクロン / 中生代深成岩体 / 初生87Sr / 86Sr比 |
研究概要 |
本年度は北部北上山地の階上深成岩体をはじめ田野畑深成岩体、姫神深成岩体、日の神子深成岩体の地質調査を行ない、多数の岩石試料を収集した。とくに前2者からの試料の収集を重点的に行なった。収集した岩石試料を岩石学的鉱物学的に検討した後、年代測定を行なった。階上岩体は化学組成の変化に乏しく、岩石はト-ナル岩〜花崗閃緑岩で、岩石化学的にはよく似た3つの貫入岩体が密接にともなってできている。一方田野畑岩体は明瞭な累体構造をした深成岩体で、周緑部は石英閃緑岩質、中心部は花崗閃緑岩〜アダメロ岩質の岩石からなっており、全体は7つの別個の貫入岩体からなっている。階上深成岩体からの岩石15個と、田野畑深成岩体からの試料10個なついてRbとSr濃度、Srの同位体組成を精密に測定し、両岩体の固結年代と初生87Sr/86Sr比を求めた。 北上山地の最北部に位置する階上深成岩体は、固結年代が135±25Maで初生87Sr/86Srは0.70355±0.00006であった。この年代は階上深成岩体の3貫入岩の内、2番目に貫入した花崗閃緑岩〜ト-ナル岩から求められた。他の2貫入岩体の岩石はアイソクロンの付近にプロットされるものの、アイソクロンには載らない。しかし、135Maを仮定して初生87Sr/86Sr比を計算すると、0.7037〜0.7039と非常に低い比になり、これらの貫入岩体が成因的に密接な関係にあることを示している。階上岩体と宮古岩体の中間に位置する田野畑深成岩体からは、125±19Maの固結年代が求められ、その初生87Sr/86Sr比は0.70422±0.00007となった。分析した10個の試料の内、周緑部の貫入順序の早い岩体からの4個の岩石試料はアイソクロンには載らなかった。残り6個の試料は貫入順序が4番目以後の貫入岩体からの試料で、87Sr/86Sr比と87Rb/86Sr比の変化が少なく、それぞれ0.7044‐0.7047と0.09‐0.28と非常に狭い範囲にはいっているが、一本のアイソクロンに載った。アイソクロン載らない岩石も、田野畑岩体のもっている化学的な特徴を備えており、初期の貫入岩体をつくったマグマのRb‐Srのシステムが地殻中を上昇するとき地殻物質の混染を受けた可能性が高い。
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