研究概要 |
本年度は岩石二次切断機ゼ-ゲミクロト-ムと岩石研磨機プレパラップを導入した。この導入によってミグマタイトの鏡下からマクロまでの三次元的な組織観察が可能となった。装置は順調に稼動中であり,実験効率の向上となった。野外調査は各分担者ごとに行なわれ,田切は北海道日高変成帯の日高ーえりも地方で,藤縄は東北日本火山帯南部地域で,高橋は西南日本花崗岩分布域で調査試料採取を行った。採取された火山岩・変成岩・ミグマタイト・花崗岩についての組織観察と化学分析は順次実行されており,そのために消耗品費を使用した。 研究によって部分溶融過程が明らかとなり,その成果の一部として7編の論文が発表又は公表予定である。田切は2つの論文で部分溶融過程を詳しく記載し,その中で地殻の化学変化を統計的に解析した。地殻物質の平均化学組成の推定は,一部の岩石種についてデ-タ不足のため,まだ実行していない。花崗岩マグマの成因と化学組成変化については,高橋と田切が別々に報告した。火山岩マグマの地殻中での相互作用についての研究も進んでおり,藤縄が国際及び国内各学会で数回の口頭発表を行い,3編の論文が公表予定である。
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