(1)放射光利用ケイ光X線による状態分析とイメ-ジング 平成2年度で蛍光X線検出によるXANESを用いた状態分析法の基礎的研究が完成したので、本年度は対象元素を増やして実試料の分析に応用し、分析法の確立をめざした。 隕石試料として新たに、YAMATO691を試料として鉄、クロムの状態分析をおこなったところ、金属鉄が検出されYAMATO隕石では還元的な環境が実現していることが明らかになった。また、YAMATO691に含まれる鉄とクロムについて状態別の2次元イメ-ジを得ることができ、現在さらに詳細な解析を行っている。これで一応本研究の目標が達成できたので、まとめて論文としてPhyics and Chemistry of Mineralsに投稿する予定である。 (2)全反射ケイ光X線分析による鉱物中の微量元素の定量 昨年度より試作している粉末X線回折計を利用した全反射蛍光X線分析装置の回折計の部分が古く、測定精度が悪かったため、平成3年夏に工業技術院化学技術研究所より管理替えにより高精度の回折計を入手し、あらたにシステムを組み直し、デ-タ解析用のコンピュ-タソフトとあわせて全反射蛍光X線分析システムを完成させた。バナジウムについて定量実験を行い、0.3ngという超微量のバナジウムを定量できることが明らかとなった。また、検量線は0.3ng〜50ngまで直線で、2桁以上のダイナミックレンジを持っており、本法により鉱物、岩石中の超微量元素の定量が可能であることがわかった。システムの更新に時間がかかったため実試料への応用は現在鋭意進めており、近いうちに成果が得られる予定である。
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