研究概要 |
地球,惑星の形成発達史を推定研究するため、その構成固体物質,とくに鉱物を物質科学的鉱物学的手法で研究する事が必要不可欠である。本研究では地殻,マントル域は石質隕石の主要造岩鉱物とくにオリビンをとりあげ、主要陽イオンMg,Fe,少量陽イオンNi,Mnの結晶学的非等価は2種の席M1席M2席への占有率,席分配を求めようとするものである。それより、岩石鉱物の熱史の解明の手がかりを得たいためである。 昨年度にひき続き、佐賀県高島玄武岩中のもの、鹿児島県隼人rhyolite中のもの、ハワイSalt Lake Crator のLher20Lite中のもの3種オリビンの学結晶X線構造解折を行なった。一部については加熱実験を行ない、席占有率の組成依存性、温度依存性を検討した。4軸自動回折計は老朽化し不調で、実験は必ずしも十分とは云えず、将来更に続ける必要がある。しかし、陽イオンは予想以上に速く動き得るものらしい。 また、Mgの多いハワイオリビンと、Feの多い鹿児島オリビンについて、ALCHEM1法による陽イオンの2席への分配を検討した。粉未試料中から適当方位のオリビンをさがすのは容易でなく、X線で方位を知り、定方位の〓片を作成そしてイオン・シニングで電子顕微鏡の試料を作成した。定在波を利用し、主要元素Mg,Feのみならず、少量元素Mn,NiのM1,M2席占有率を求めることが可能であった。実験法にも改善を加え、一応基礎的なデ-タ-を得たことは将来役にたつ。また、占有率を求めろ従来の式では,Mgを基準とし、M1,M2の2席へ等分に配分されていると仮定し、他の元素の分配を求めるものであった。しかし、この様な仮定を設けることはL、Siが4配位位置のみ占めるとして、席占有率を求める式を新に導出し、従来の計算法と比較検討した。近くALCHEMI法の結果を論文にまとめるべく準備中である。
|